
未来の人とクルマを心地良くつなげる『インテリアコンセプト』

私が所属するデザイン開発グループでは、「五感に訴える」というキーワードのもと、触感や視覚に関する機能性とデザイン性を兼ね備えた製品の開発に取り組んでいます。その中で私は、CMF(色・素材・仕上げ)デザイナーとしてさらに踏み込んで、人が感じる「心地良い触感」を数値化し、それを製品開発に新しい価値としてどのように生かすことができるかを研究しています。
業務のひとつとして、「私たち自身が将来に備えてどのような技術開発をすべきかを目標設定し、見える形にする」というコンセプト開発も、デザイン開発グループがリードして取り組んでいます。

2035年をターゲットとしたインテリアコンセプトモデルの開発事例を紹介すると、EV化や自動運転の普及に伴い、クルマのインテリアは現在よりも自由度が高まっていくのではないかと考えました。その中で、今回製作したインテリアコンセプトモデル「C2035」では、「Calm」をテーマに、人とクルマを心地良くつなげるインテリアとしての「Calm Technology」と、クルマと地球を心地良くつなげるものづくりとしての「Circular economy」を開発の軸としました。

「C2035」では、ステアリングのグリップに、私が研究する心地良い触感の数値を反映させた開発品を採り入れています。ステアリングは滑りにくさという機能性と心地良さの両方が求められるため、それらを両立できる素材を選び、シボ加工を施しました。トリム部分には「Circular economy」実現に向けて開発を進めている、地元広島の名産である牡蠣の殻を活用したアップサイクル表皮を使用しています。またパネルの部分はやわらかな質感の光透過スエード調表皮でリラックス感を表現したり、当社オリジナルのアロマを搭載したりすることで「Calm Technology」実現に向けた提案を織りこみ、グループ全員の力で将来の製品開発の目標となる車室空間を形にしました。


「Calm Technology」実現に向けて触感の研究を進める中で、摩擦係数や熱伝導率などを分析し、どの要素が最も心地良さに影響するかを検証しました。そして、試作したものを実際に人に触ってもらい、好き・嫌いなどの官能評価を行いながら、結果と表面の物理的な数値を照らし合わせていきました。

こうして得たデータも生かしながら、最終的にデザインを創り込み、コンセプトをモデルとして具現化していきました。心地良さを数値化し、多くの素材から最適なものを選び、製品として形にしていく作業は大変でしたが、心地良さと機能性の高い製品を実現したいという思いを原動力に、粘り強く試作・検証を続け、形にすることができました。

今後、樹脂製品の価値を高めることが私たちに求められています。機能性はもちろん、製品や部品をより魅力的に見せるために意匠性を高めることも重要だと考えていますので、機能性と意匠性を両立する魅力的な製品を開発したいと思います。
技術・デザインのトレンドは日々変化しています。またメーカー各社からの要望も高度化しており、そこに応えるために試行錯誤を続けていくことにやりがいを感じています。当社が新しいものづくりに取り組んでいると多くのステークホルダーから認知してもらい、その取り組みを支える一員になりたいと考えています。
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